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マーケティング・データベースの質・量を定点観測しよう

B2B事業の段階により、マーケティングデータベースに関わる課題は異なってきます。市場の黎明期、または自社が市場参入した段階では、まずは数を集めることが重要ですし、市場の成熟期では、逆に数が減らないよう有益な情報の発信での維持が重要と言えるでしょう。ですが、そもそも、マーケティングの施策単位では、例えば、Webinarであれば登録者数、参加者数、案件化数・金額といったKPIを細かに見ていく一方で、メール・マーケティングの源泉になっているリードデータベースの量を定期的にレビューしたり、リード獲得の戦略を考えたりすることは稀にも思いますので、今回は、このあたりの話になります。

■マーケティング・データベースとは?

この呼称が正しいのか、自信がありませんが、Marketing Automationを導入している場合、メール配信のパーミッションが取れているコンタクト先のデータベースということになります。

厳密には、メール配信許諾があるコンタクトだけでなく、営業段階でのフォローで重要な連絡先である電話番号も備わっているか、も大事です。ですので、企業によっては、Email可能なコンタクト先が何件、また電話可能な連絡先が何件と分けてみる場合もありますが、MQL(営業のフォロー)段階で電話が取れていればよいので、その前段階ではメール連絡可能だけで良いと考えておいても良いでしょう。

データベースが重要なのは、自社でのプロモーション施策を実施した場合に、全体のデータベース数xMQL変換率といった公式からも推測できるように、データベースのボリュームがあれば、施策の効果、アウトプットのレバレッジが効きやすいからです。また、競合情報として、ウェブに掲載されているコンテンツ、またはPrivateメールで競合のメルマガ登録ができれば配信頻度など、競合の動きが見える一方で、どれぐらいのデータベースを保有しているのかは推測も、入手可能な情報もないので、マーケティングとしての優位性(見えざる資産としてリーチできる見込み客数)が見えづらい為に、ややもすると意識されない場合があります。

■ほっとおいても増えない、というか、減っていくという現実問題

マーケティングのデータベースですが、自然と増えるといったことはありません。

何らかの名刺、コンタクトの獲得施策が行われて、そのコンタクト先をCRMにアップロードするか、MAにアップロードして、CRM、MA双方にシンクします。

一方で、データベースの減少も発生します。これはメール配信の停止というコンタクト側からのアクションもありますが、大手企業になるとMAのコスト圧縮(コンタクト数課金の為)として、一定期間反応がなかったコンタクトをパージすることがあります。特に欧米企業のもともとのMAの発想が、リストを購入し、MAでナーチャーして、インサイドでフォローという焼き畑的な仕組みであったり、転職頻度の高い欧米では2-3年の期間でメールの一定比率が無効になるといった調査結果があったりして、データベースは定期的に棚卸しすべきという前提があるからです。

ですので、定期的にデータベースのボリュームを観測し、その増減の原因を確認することが、繰り返しになりますが、自社のキャンペーン施策のスケールアウトには重要なのです。

■マーケティングデータベースの定点観測

マーケティングデータベースとして、できれば、四半期ぐらいの頻度で、次のような点を観測してみてはどうかと考えます。

●自社の市場規模、事業規模から必要となるデータベースボリュームのゴール設定を行い、修正していく

漠然とデータベースの量を眺めても仕方がありませんので、何らかの軸がほしいですね。フェルミ推定的に、自社の市場規模、シェアから、市場の何%のリード先をデータベースとして保有するといった高尚なアプローチもあるでしょうが、あとは、自社の売上成長を設定している場合、この成長率を上回る新規コンタクトの獲得をゴールするということも考えられます。いずれにしても、何かゴールはほしいところです。

●コンタクト獲得の施策・トレンドを把握する

実質的には、外部メディアからのリード獲得、バーチャル含めた展示会などがボリュームを稼ぐ施策になっている場合が多いですが、ウェブコンテンツなどで意外とコンスタントにコンタクを獲得できている(そして案件に変換できている場合)もあったりしますので、後者をどのように拡張、継続できるかを考えるようにしたいですね。

●コンタクトの離脱要因を把握する

例えば、メール配信の内容と離脱の傾向の相関を見てみることが考えられます。メール配信が製品の売り込みばかりになっていて、離脱が増えているのであれば、コンテンツのバランスを考え直すべきかもしれません。

また、新規に大量のコンタクトを獲得できる施策において、アップロードした直後の動向も要留意です。例えば、展示会で数千件のコンタクトをアップロードした場合に、では、半年後にどれぐらいの方がオプトアウトしているかを確認することで、そもそも、継続すべきキャンペーンなのかを再考するのも良いでしょう。

そして、先述の通り、自社内のコンタクトのパージ方針による影響度合いも定量的に捉えておきたいですね。

●データベースのセグメントも併せて考えていく

データベースのボリュームは総体的な視点ですが、一方で、仮に営業部門が業種別、売上規模別に編成されている場合、マーケデータベースがこれらと一致しているかも気になるところです。例えば、大手製造業をメイン顧客とする事業体なのに、データベースには中小企業しか含まれていないと有効なデータベースにはなり得ません。

ですので、多くの場合、B2Bマーケの後工程としてのMQL要件(における事業規模、業種、顧客担当テリトリーとの整合性といった企業属性要件など)からの逆算で、データベースの企業属性のバランスは意識したいところです。高度には社名の正規化による、企業データベースとの連携を通じて、自動的に業種別・事業規模属性を付与する場合もありますが、そこまでが難しければ、フォーム、アンケートで、データベースのセグメントに絡む設問を設定して対応する場合もあります。

■まとめ:マーケティング・データベースの定点観測を通じて、施策のレバレッジを維持・拡張へ

B2Bマーケのゴールとして、データベースの維持・拡大が最終ゴールではありませんが、良質なコンタクト先をボリュームとして獲得しておくことは、特にデジタルシフトしている現在においては、個々のキャンペーン施策がレベレッジできるかの前提条件になっていますので、定期的なモニタリングと対策はしておくべきでしょう。

また、リード獲得単価の最適化について、こちらのブログも併せて参照いただけると良いかと思います。

B2Bマーケで確実にリード獲得単価を引き下げる手段とは?

最後に、B2BマーケティングにおけるDemand Waterfall分野のデータ分析(MQLからSQL変換、SQLからSQLWon/Lost変換の2つの工程)について、チャート例、分析ステップ等を解説したNOTEを書きましたので、こちらもご参照ください。
 
サンプルチャートとデータ分析の進め方の解説付き、B2Bマーケティング・Demand Gen分野のデータ分析ガイダンス
 

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