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キャンペーン設計はObjective Firstで

BtoBマーケティングの管理職と話をすると、時折、組織運営の課題として話に上がるのが、マーケメンバーがTacticsFirst(施策起点の志向)であることです。BoBマーケティングの仕事の多くは、キャンペーンの企画・設計・実行・レビューですが、ややもすると、自分が得意とする施策ばかりにのめり込んでいくケースです。一方で、TacticsFirstの対義語として、ObjectiveFirstという考え方がありますが、なぜ、ObjectiveFirstで行くべきか、を考えてみました。
 

■TacticsFirstという呪縛

 
キャンペーンの流れですが、一般的には、企画・設計・実行・レビューです。皆さんも想像してほしいのですが、各プロセスの工数、仕事の重たさって、どうでしょうか?例えば、同じようなキャンペーンを継続していれば、企画・設計は不要になり、実行とレビューだけになるわけです。一方で、企画・設計って、ゼロベースで行うと、実行・レビューのプロセスよりも工数を要する場合もあると感じます。
 
このような工数の観点、そして、そもそも、企画・設計をゼロから回したことがないマーケティング・メンバーがいる場合には、効率を優先して、過去のキャンペーンの焼き直し、自分が得意とする施策の繰り返しへと邁進する重力が働くわけです。
 
ですが、ここで問題になることがひとつあります。皆さんも考えてみましょう。
 

■キャンペーン設計の最適なモデルとは?

 
キャンペーン設計のモデルは、結構、欧米のブログとかでも転がってます。できる会社であれば、社内資料でテンプレがあったりもしますね。で、個人的に意識しているのは次のような設計ポイントです。Sales & Marketing objectiveが冒頭に来ていますね。
 
●Product & Solution:
 
対象の製品・サービスは何か?
 
●Sales & Marketing objective:
 
営業とマーケティング部門の課題は何か?売上目標、パイプライン状況、営業の注力度合いも意識して、対象製品に関するキャンペーン実施がなぜ必要かを考える。
 
●Targeted Audience:
 
キャンペーンの対象とするオーディエンスを考える。併せて、自社のデータベースでの獲得状況、または3rd Partyからのリード獲得が必要な場合の実現性、費用対効果も考える。
 
●Targeted Funnel : 
 
具体的には、顧客の購買工程におけるボトルネックは何か?課題認識→自社製品の優位性理解→リテンションといったファネルで見て、課題を考えつつ、キャンペーンがどのファネルを対象とするかを特定する。
 
●Addressed customer challenge and pain points : 
 
キャンペーンの対象ファネルにおける顧客の購買検討における課題点を整理する。
 
●Unique offering, unique selling points : 
 
そのファネルで伝えるべき自社の優位性を整理する。製品検討の場合は製品スペックになるが、課題認識を狙う場合、例えば、自社のTrustedAdvisoryとしての優位性をどう伝えるか。
 

■なぜ、Objective Firstか?

 
一点目として、TacticsFirstなキャンペーン設計の場合、市場・競合環境といった外部環境の変化を十分に組み込めない場合があります。例えば、市場の黎明期から成長期であれば、売り手市場。比較的マスなアプローチをしていても、見込み客の獲得ができる為、展示会、セミナーが有効かもしれません。ですが、市場が変化・成熟し、戦い方が競合製品の置き換えとなると、そもそも競合ユーザが展示会に来ることはないので、展示会のマーケティング効果・ROIは見込めないわけです。
 
二点目として、営業とマーケティングの課題が共通認識化されることにより、セールスサイクルが長いリードに対する営業フォローの協力度合いが高まるわけです。こちらは、内部環境の変化、営業の優先順位との兼ね合いですね。営業の優先順位とマーケティングの施策の焦点がずれていると効果的ではありません。
 
ですが、ObjectiveFirstでのキャンペーン設計の留意点がひとつあります。先程、企画・設計のプロセス、工数が重いとという点を指摘しましたが、毎回、Objectiveの確認・分析をアドホックに回すと、やはり工数が取られます。ですので、例えば、年間計画の中で、プロダクトマーケティングがSales & Marketing objectiveを1年見通しでまとめておいて、それをもとにパイプライン状況等の変化を加味しつつ、設計を回すのが現実的ではないでしょうか。
 
最後に、B2BマーケティングにおけるDemand Waterfall分野のデータ分析(MQLからSQL変換、SQLからSQLWon/Lost変換の2つの工程)について、チャート例、分析ステップ等を解説したNOTEを書きましたので、こちらもご参照ください。
 
サンプルチャートとデータ分析の進め方の解説付き、B2Bマーケティング・Demand Gen分野のデータ分析ガイダンス
 

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