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受注率系MROIを高める打ち手:失注案件の再ナーチャリングで考慮すべき設計要素とは?

B2Bにおけるデマンド・ジェネレーションにおいて、マーケティングROI(MROI)を改善する為のベタな打ち手として、失注案件への再ナーチャリングがありますが、設定上の考慮事項を個人的にまとめてみました。
 

■Marketing ROIとは何か?

 
昨今、B2Bマーケティング部門の役割は、すなわち、KGIですが、以下が主流になってきているのではないでしょうか。
 

●Marketing Sourced Pipeline 

 
マーケティング活動によって取得したリード(MQL)から、自社のBANT要件(予算、権限、ニーズ、タイミング)で精査を行い、営業に引き渡した見込み案の件数、金額をMarketing Sourced Pipeline と定義したりします。B2Bの場合では、商材・サービス、導入対象企業の規模により、案件単価に幅がある場合が多い為、一般的にはMarketing Sourced Pipeline件数ではなく、金額で測定します。一般的には、SFAにおいて、MQLを変換して、案件=オポチュニティーを作成することで、どのキャンペーンから発生した案件かを関連付けしていきます。
 

●Marketing Influence Pipeline

 
パイプラインは、マーケティング部門以外にも、自社の営業、または販売代理店が創出することもあります。これらの全てのパイプラインに対して、具体的に言えば、これらのパイプラインに紐付いているDMU(Decision Making Unit)に対して、マーケティング・キャンペーンへの接触、影響、インフルエンスがあったかをトラックするのがMarketing Influence です。例えば、1,000万円の案件をあり、これに案件対象企業のDMUが登録されていて、このDMUの方がマーケティングのイベントに参加頂いた場合にInfluence、案件に対する良い影響を与えたと捉えるわけです。これも同様に金額で測定します。
 

●Closed Won  

 
Marketing Sourced も、Influenceも、どちらも案件創出段階のKGIです。一方で、それが受注までつながったかを見るのが、Closed Won Amountです。パイプラインはたくさん創出できても、受注につながらなかったキャンペーン、一方で、パイプラインはそれなりだけど受注金額が良かったキャンペーンといった観点で比較するわけです。
 
で、何れのKGIを重視するか、実は市場サイクルや営業のGTMに依存します。
 
例えば、市場の黎明期・成長期にある場合、より多くの新規パイプラインを創出できる市場機会がありますので、その場合には、Marketing Sourced Pipelineに重きを置きます。一方で、市場の成熟期に差し掛かっていたり、市場に対する営業のカバレージが十分に効いている段階では、あまり多くの新規パイラプン創出できませんので、むしろ、既存のパイプラインの受注効率を上げることが優先となりますので、Marketing Influence Pipeline に重きを置く場合があります。または、自社の中でもABMで既存、大手顧客むけの施策に関しては後者のKGIを重視するも、それ以外のキャンペーンはSourcedを重視するといった混在型であることもあります。
 
何れのKGIであっても、キャンペーンに投資した金額(マーケ費用)に対して、何倍のPipelineの創出が出来たか、もしくは、Influenceを与えられたかをROIとして測定するわけです。例えば、1000万円を投入したマーケ予算で1億円の新規パイプラインが創出できた場合、ROIは10倍だね、といった倍数でトラックしていきます。
 

■受注率系MROIを高める打ち手:失注案件の再ナーチャリング

 
先程、市場サイクルや営業のGTMによって、マーケティングが重視すべきKGIが異なる話をしましたが、ざっくり言えば、パイプラインがないと売上貢献にも至らない訳ですから、まずはMarketing Sourced Pipelineを積み上がったら、Closed Wonの改善に取り組むという時間軸の流れになるのではないでしょうか。
 
Closed Won、受注金額でのマーケティング貢献軸でのROIを改善するには、購入検討段階にあるDMUに対するInfluenceを効かせる施策が必要ですが、もうひとつの考え方は離脱した案件に対する再ナーチャリングです。B2Cの世界では、例えば、ショッピングサイトで商品を閲覧し、購入に至らなかった方に、リターゲティングを行いますよね。それと同じで、B2Bでも失注案件の方に再アプローチするわけです。
 
失注案件の再ナーチャリングに関しては、恐らく、以下の3つのポイントを抑えながら、キャンペーン設計を行うべきように考えます。
 

1.再ナーチャリング対象案件の選定

 
失注案件にも、失注理由が何パターンか、あります。恐らく、SFAでのパイプライン管理の一環で、失注理由が選択式になっているのではないでしょうか。ざっくりとは以下のようなパターンでしょうか。
 
・競合製品を購入
・購入予算含めたプロジェクトが消滅
・検討が進まなかった(商談の浅い段階に多い)
 
で、どの失注理由の案件をフォローすべきか、も会社の営業戦略にも依存します。競合製品を購入していても、置き換え提案を早い段階から精力的に行う営業スタイルを取る、検討が進まなかったところだけを再度掘り起こすのか。これに関する一定の定義、部門間の合意形成がないと、時にフィールドセールスから新規案件がほしい、質の悪い案件を再度回されたといった否定的なフィードバックを受ける可能性がでてきます。
 
併せて、考えるべきはフィールドセールスとインサイドのカバレージの重複、排他でしょうか。案件は失注したが、フィールドセールスが継続的に訪問、提案の機会を伺っている場合は、インサイドの再コンタクトが重複してしまいます。
 

2.ナーチャリング投入のタイミング設定

 
ナーチャリングの再開タイミングも設計上で重要な要素です。B2Bの場合、商材・案件規模にもよりますが、法人のお客様では予算は半期、年度で取得をしていきます。ナーチャリング対象案件の選定で、例えば、予算が手配できずにプロジェクトが消滅した案件を対象とする場合、予算計画にあたるタイミングで再度コンタクトするのが望ましいでしょう。一方で、競合製品を購入された場合、その更新・置換えタイミングに併せてアプローチするのが最適でしょう。
 
このように失注パターンに寄り添った、タイミングの最適化が必要です。マーケティングの視点で言えば、ナーチャリングルールを設定しインサイドが都度フォローをしていくのか、もしくは、マーケティング的にバッチ型キャンペーンを組んでやっていくのか、キャンペーン設計を考慮する必要があります。個人的には都度フォローがタイミング的には最適ではあるものの、バッチ型の場合、集中的に、且つ、キャンペーンとしてのKPIも可視化しやすいので、後者も悪くはないと考えます。
 

3.インサイドセールスのKGIとの整合性

 
再ナーチャーリングって、インサイドセールスからすれば、効率が良さそうですよね。既にインサイドとコミュニケーション、コンタクトが貼れている方に電話して、再度の提案アポを取るのは、新規リードからの案件創出と比較すれば、極めて、楽で、効率的です。ですが、マーケティングからすれば、再ナーチャーリングばかりに活動を割いてしまうと、新規パイプライン創出が疎かになるリスクがあります。
 
インサイドセールスの評価が創出パイプライン(SQL金額)であった場合、同じ案件で何度もSQL金額を稼げるわけです。一方で、インサイドセールスのKGIが創出パイプラインからの売上貢献の場合、再ナーチャーリングは合理的です。つまり、インサイドセールスとマーケが、パイプライン創出金額の最大化、または受注金額の最大化のどちらを優先付けを行うかという判断になるわけです。
 
ですが、先述の通り、KGIの設定が組織の行動を左右しますので、特にインサイドセールスが都度営業とコミュニケーションしながら、再ナーチャーを始める型の場合には、予め、新規リードからのパイプライン創出と再ナーチャーリングの重み付けは意識しておいた方が良いかと考えます。