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ABMでまず最初に行うべきことは?

さて、外資系IT企業の場合、12月決算が多いため、来年度の事業計画、マーケティング計画に取り掛かっているのではないでしょうか。筆者の所属する会社でも、市場が成熟に入っていることあり、アカウントベースマーケティング(ABM)が主軸になっています(注力アカウント以外はパートナーマーケテイングでの共同デマンド創出で対応)。では、ABMの施策を考える際に、まず行うべきことは何でしょうか?
 

■そもそも、アカウントベースド・マーケティングとは?

 
私個人の定義では、”自社の事業成長にとっても最も効率の良い既存・見込顧客を特定し、そこにマーケティング活動を集中する”といった具合です。そして、ABMの実施要否は営業のGoTo MarketPlanに強く依存します。
 
一般的によく言われる売上のパレートの法則、売上高の80%を占めるのは優良な20%の顧客である、というのがあります。例えば、外資系ITの場合は、日本企業の求める手厚い導入支援・サポートを前提に、日本のシステムインテグレーターによる再販モデルを組んでいますが、その一方で、優良な20%の顧客はハイタッチ営業を行い、何らかのコントロールを行いたいと考えます。
 
外資系ITの立上げ段階では、ニッチな商材を除き、まずはよりマス的なマーケティング活動を行い、その中から優良顧客を育成していきます。そして、次の段階として、優良な大手顧客、および、業界のトップ企業に対するアカウントに固定のハイタッチ営業を配置します。この段階で、営業指定のアカウントに集中的にマーケテイングを行うわけです。
 
つまり、ABMではターゲットセグメントをアカウントで指定するわけです。
 
ABMの概念が出てくる前は、どちらかといえば、企業規模のセグメントでした。例えば、従業員規模1000名以上の企業を対象にセミナーを実施する、従業員規模250名未満の中小企業向けの販促を行うといった具合です。後者の場合のメリットは、特に市場の黎明・導入段階では、営業数も少なく、購入・導入意欲が高い会社は限られる為、顧客を育てるより、まずはフットプリント(導入)を競合よりも早く、広く拡大できるという点があります。会社の成長戦略→営業のGoToMarketPlan→マーケティング戦略という視点で自社はどの段階か?と捉えてもらうのも良いのではないでしょうか。
 

■アカウントベースド・マーケティングでは具体的になにをするのか?

 
その前に、ABMのアカウント=営業の注力アカウントの選定ですが、これは営業で決めることが多く、マーケが決めることはないです。経験上で言えば、業種別の営業テリトリーの場合、各業界のトップ企業が指定アカウントになりますし、一定比率で既存顧客と新規顧客のバランスを見る感じでしょうか。
 
さて、ABMであっても、B2Bマーケティングの施策の基本は、リード獲得→リード育成・案件化→既存顧客の維持・拡大のフレームワークになります。一方で、営業から次のようなマーケに対する不満を聞くことはないですか?
 
・自分の担当アカウントでのマーケからの案件が来ない。
・自分でアウトバウンドコールしたいけど、かける先が無くて困っている。
・そもそも、既存顧客が少なくて、新規開拓ばかりしないといけない。
 
そうなんです。結構、テリトリーって平等ではないのです。外資系あるあるですが、ある古参の営業は自然と売上が上がる大手既存顧客を囲いこんでいるとか、ある業種だけは競合が強くて自社の導入が少ないとか、何かとあります。
 
ABMで最も難易度が高いと思うことが個々の営業毎に施策を考え始めるとキリがないのです。そこで何らかの定量的な尺度でターゲットアカウントの段階感をセグメント化できないかと考えました。
 

■まずはABMアカウントを3つにセグメント化してみましょう。

 
SFAやMAを導入済みの企業であれば、各企業ごとのリード(キャンペーンでリーチできるパーソン)、および、パイプラインの可視化ができます。そこで、リード、パイプラインのボリュームにより、3つグループわけをしてみましょう。例えば、各営業の販売目標を元にリード保有目標数、および、次年度のパイプライン目標について、ざっくり仮定します。リード保有目標は1企業あたり25名、次年度のパイプラインは1企業あたり2,500万円といった形式です。
 
これにより、ざっくりですが、リード獲得、リード育成・案件化、パイプラインの受注貢献への注力比重を仮説立てできます。
 
●リードも、パイプラインも不足しているアカウント・セグメント 
→リード獲得施策が必要。マーケ活動のKPIは本セグメント企業での新規リード獲得数
  (施策例)対象企業向けのテレマでリード獲得できないか?
    
●リードはあるけど、パイプラインが不足しているアカウント・セグメント
 →獲得したリードからの案件コンバージョン施策が必要。マーケ活動のKPIはパイプ創出
  (施策例)対象企業に合致した事例セミナーを開催できないか?
 
●リードもあるし、パイプラインも十分にあるアカウント・セグメント
 →パイプラインを受注率を上げる施策が必要。マーケ活動のKPIはパイプラインへのインフルエンス
  (施策例)検討顧客と既存顧客のミートアップを開催できないか?
 
●既に売上があり、リテンション段階に入ったアカウント・セグメント
 →顧客企業の中での導入部門、対象者を拡大する必要あり。既存顧客の維持率、売上拡大へのインフレエンス
  (施策例)顧客内での製品・サービス導入利用のユーザ育成できないか?

■まとめ アカウントをセグメント化し、マーケティング施策の比重点を明確化

 
まずはABMの対象アカウントをセグメント化し、マーケティング施策の比重を明確化しましょう。このように仮説立てでもよいので、1アカウントあたり何名分のリードが必要か、いくらのパイプラインが必要か、を設定すれば、プランニングも具体化できます。また、会社の成長戦略上という文脈・状況感から、直近の売上が最重要なのか、それともパイプラインの増強が喫緊の課題なのか、を加味して、マーケティングの施策の重み付けを行いましょう。
 
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