営業が追いかけるSQL(Sales Qualified Lead =パイプライン)の比率を上げる為、営業が注力するアカウントにフォーカスするマーケティング・アプローチとしてAccount Based Marketing (ABM)が注目を集めています。ABMを始めると最初に気づく自社の課題として、そもそも、ABM対象企業のリード情報が少ない場合があります。そのような状況で切り分けしてほしい点として社名正規化の状況確認、および、非正規化リードでのキャペーン実施方法について、まとめてみました。
■ABMに着手、リード数が足りないで思考停止しないこと
ABMでは、初めに営業と注力アカウントを確認し、マーケティング側では現状の保有リード数を確認します。リード数が少なければ、リード獲得から始める必要がありますし、リード数が多ければ、早速、注力アカウント向けのキャンペーンへと移れるわけです。
この注力企業のリード保有数の確認段階で考慮すべきは、自社のリードの社名正規化状況を確認、疑ってかかることです。例えば、営業が指定した”日本電気株式会社”の社名とマッチしたリードを抽出します。MAとかでCompanyName=”日本電気株式会社”と指定するわけです。その結果、意外に少ない結果が帰ってきます。ここで思考停止せずに、リードを全抽出して、数百件から数千件ぐらいの社名をざっくりと目視してみましょう。中には”日本電気株式会社”と思わしき”NEC”、”エヌ・イー・シー”といった社名のリードが混在する場合があります。
なぜこれが起きるかと言えば、一般的にマーケティングのリード情報は、顧客情報と異なって、情報精度が比較的悪くても許されてきました。極論すれば、マーケとしてリーチ・連絡ができればよい、すなわち、氏名、メール・アドレス、電話が正しければ良いわけで、社名の精度のブレはOKでした。そして、展示会でのアンケート、ウェブ・フォームの入力といった社名の略称記入が起きやすいキャンペーンからのリード獲得比率が高いほど、社名の正規化は劣化しています。最近でこそABMに注目が集まり、社名の正規化の重要性が再認識されています。しかしながら、MAのリードは過去数年の蓄積であり、社名の正規化なんて気にしてこなかったわけですから、非正規状態の社名が混在するわけです。
■社名の正規化、後の祭りで挽回するには?
正規化されていない社名のリードですが、そのリードの名刺情報でもない限り、簡単に即座に更新・修正は不可能です。残された方法は2つぐらいでしょうか。1つはテレマーケティングで社名を確認する方法でしょうか。もうひとつは短期的な社名の正規化は明らめ、リードのターゲティングを社名ではなく、メアドドメインを軸に切り替えてしまう方法です。
●テレマーケティングで社名情報を獲得
1つはテレマーケティングを利用し、本人に連絡し、社名を確認する方法です。正直、社名の確認だけのテレマ利用はマーケティングROI的に厳しいでしょう。この場合、社名の確認と併せてBANTのプロファイル獲得を行うといった、ナーチャリングの初期的なアプローチに組み入れるのが良いように思います。仮にABM対象企業のリード新規獲得単価がN万円の場合、BANT確認テレマでの1名あたりのコストは幾らまで、といったざっくりのコスト判断となります。
●社名の正規化はせず、リードのターゲティングをメアドで代替
もう1つの方法は、社名の正規化は一旦明らめ、リードのメールアドレスのドメイン・エイリアス(@以下の部分)で、キャンペーンのターゲティングを多なってしまう方法です。具体的には、次のようなステップを踏みます。
・ABM注力企業のメアド・ドメインのリスト作成
営業からのヒアリングや保有名刺情報、社名が正規化されているリードの情報と元に、注力アカウントごとのメアド・ドメインのリストを作成します。例えば、次のような形式で注力企業全部のドメインを整理します。
日本電気株式会社 :@nec.com
株式会社日立製作所 :@hitachi.com
・ABM注力企業のメアド・ドメインをMAリードとマッチング
リストをベースに、MAリードと、メアドドメインを軸に検索・抽出を行います。そうすると、社名が正規化されていないリードもメアドベースで引っかかってきます。
■ABM:正規化に時間をかけるな、まずはキャンペーンの実行を優先
ABMに取り組む場合、営業からもマーケの動きが見えちゃいます。営業は四半期、年度での売上成果で動いています。仮にマーケティングが社名の正規化に1、2ヶ月掛けてキャンペーン実施が遅れるぐらいであれば、粗目のターゲティング精度で良いので、まずは始めてくれと営業は感じています。是非、社名正規化の問題で思考停止にならず、これらのTIPSを元にABMの取り掛かりをQuik&Dirtyに進めましょう。
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