B2Bでのデマンド・ジェネレーション施策において、日本ではセミナーの重要性は高い状態にあると感じます。欧米では地理的に顧客が分散する為にウェブ型セミナーが主流になっています。一方で、日本ではIT業界で言えば、首都圏の顧客による売上貢献が個人的な感覚として7割ぐらいで首都圏に集中。さらにコンテンツへの要望レベルが高い日本のお客様には、事例、競合比較といった踏み込んだ内容が必要ですが、これらはセミナーでしか提供できない場合もあります。これらの点からセミナーが重要ですが、今回は開催日程の決め方に関する個人的なナレッジを共有したいと考えます。
■3C分析を軸にセミナー開催候補の洗い出しを行う
まず、セミナーの開催日程の洗い出しですが、大局として3Cの観点で情報を整理しましょう。3Cとは、Customer =顧客、Competitor =競合、Company = 自社という3の立場を考慮するということです。皆様が暗黙知で理解・認識している点もあるかもしれませんが、3CのMECEで抜けもれなく考えましょう。
■顧客視点
顧客視点で適切なセミナータイミングを考えることですが、2つの要素があります。
●顧客企業の予算周期
商材の金額規模にもよりますが、法人商材の場合に顧客企業は検討→予算化→購入のステップを踏みます。そして、予算化は年度で予算化、または半期で予算化します。この為、予算化を行う時期にセミナーで情報提供とその後の訪問提案のタイミングをあわせる必要があります。一般的に年度予算は11月頃に固める大手企業が多く、また、官公庁の場合は7月といった場合があります。いずれにしても、自社の商材の主要顧客の予算周期は営業に確認し、理解しておきましょう。
●法人企業が参加しやすい日程
端的には参加者が多忙な時期はさけるということです。業務の締めの時期、および、1週間のうち多忙になりやすい月曜日をさけるといったことです。また、日程だけでなく、時間帯の好みもあったりします。例えば、業務時間帯内があう部門の方とエンジニアのように夕方から始まる方が好む場合もありますので、自社のターゲット・ペルソナを理解しておくことです。定期的に開催するセミナーであれば、参加者へのアンケートで確認する方法もあります。
■競合視点
業界における圧倒的なNo.1企業でない限り、競合や業界のイベント、セミナーとの同時開催は避けましょう。
●競合企業の開催日程
特に競合会社の大規模イベントの同日に、自社が小規模セミナーを開催するなどはありえません。競合企業のイベントページを参照する、企業のセミナー情報をまとめたサイトを確認するなどして、競合の動きは把握していおきましょう。
セミナー開催のコンフリクトだけでなく、日頃から競合の動きを把握する意味で、できれば、競合会社のメールマガジンに登録しておく、競合会社に関するキーワードアラートを設定しておくなどし、定点観測を自動化しておくのもよいでしょう。これにより、例えば、競合があるトピックを取り上げたセミナーを緊急開催する場合、自社でも同様のセミナーをあてるといったタイムリーな競合対策もできます。
●業界イベント・展示会
競合が出展・協賛するかは別として、自社がAI製品を扱っている場合、AIをテーマとしてメディア主催のセミナーや展示会との重複も避けたいところです。むしろ、自社がセミナーを開催したい時期とこれらが重複するのであれば、外部イベント・展示会を活用するか、しないかを検討すべきです。
■自社視点
●パイプライン創出の年間計画
セミナーの規模にもよりますが、参加者へのフォローアップのリソースの枯渇をさける為に、セミナーとその他のデマンドジェネレーション活動の発生時期は最適化しましょう。例えば、デジタルキャンペーンでリードが獲得できるタイミングとセミナー開催時期をずらすといった工夫です。
●自社商材の戦略的なタイミング
新製品の市場投入、または外部環境の変化で急速に顧客の購買検討が加速しているといった場合には、Time to Market(市場へのアクセスをタイムリーに行う)を重視し、最短で開催できるタイミングを考慮しましょう。悪い例としては、市場投入のPR業務に時間が取られ、Awareness拡大のPRと案件化・コンバージョンを目的としたセミナーが連動しない場合です。
■まとめ セミナー日程の確定は早めに その理由は?
3Cで候補日を洗い出した場合、顧客視点や競合視点を完全に加味できる日程に収まらない場合が発生します。なぜなら、顧客視点でよい日程は競合や業界イベントも狙っているからです。
このような観点から、自社の計画は早めに行うことが有益であるとも言えます。一般的に、展示会などの大規模なイベントはかなり早い時期にわかります。例えば、次年度の展示会は何月何日か1年前にわかります。一方で、競合に関しては予め把握できないです。ですが、例えば、自社が先にセミナー日程を公開すれば、競合も同じ日に設定できないのも同様です。つまりは、大型イベントは早い段階に把握し、競合がセミナー開催するよりも前に自社のセミナーを確定させることです。
このように候補日の絞り込みができれば、次は集客施策(特に営業集客に依存度が高い場合は営業とも協議)、および、コンテンツ準備に掛かる期間を考慮し、セミナー開催日を最終的に確定させましょう。
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