キャンペーンを企画する際、皆様、どのような枠組みで考えていますか。ややもすると、媒体社からメディア掲載を持ち込まれたから、継続的に出展しているる展示会だからなど、疎かになりがちなキャンペーン設計の基本について、陥りがちな失敗パターンも含めて、個人的な経験も踏まえ、まとめてみました。
■「ターゲット」と「ファネル」と「CTA」
キャンペーン設計の要は、「ターゲット・セグメント=どのような属性の顧客」の「マーケティング・ファネル=どのような購買検討段階」に「働きかけ(Call to Action) =どのような行動をとってもらうか」にあると考えています。例えば、次のようなパターンが考えられるのではないでしょうか。
●「競合製品を導入済顧客」で「導入から3年・買換時期」に「自社製品を検討してもらう」
●「自社製品の未導入の顧客」で「年度予算は保有の段階」から「自社製品の検討へ」
●「自社の既存顧客」に「契約更新のタイミングにむけて」「追加オプションを検討いただく」
これぐらい、具体的になっていると、恐らくは失敗しない設計になっていると思いますが、過去の経験も含めて、陥りがちな設計パターンを思い返してみると、次のようなものがありました。
■失敗パターン1:キャンペーン1つで全てを終わらせたい症候群
マーケティングファンネル、すなわち、顧客の購買検討の段階は、一般的に Awareness (知ってもらう)→ Interest (課題・関心)→Consider(製品検討)→ Retension(導入拡大)と定義されています。そして、よく陥りがちなパターンのひとつは、 AwanessからConsiderまでを一気に駆け抜けたい願望です。
例えば、展示会、外部セミナーなど、それまで自社との接点が少ない見込み客をターゲットとしている場合、展示会に出て自社を知ってもらえれば、検討が進むと期待していませんか。確かに、検討段階の方が来場もあるかもしれませんが、個人的な経験上稀なケースです。多くの方は情報収集として来場、課題認識が醸成されていない方が多いです。
展示会で検討まで進むと勘違いした場合、ありがちなのはその後の製品検討に至るまでのフォロー設計が不十分になされておらず、大量に取得した新規リードがそのまま使われずに終わり、1年後の再出展の際にマーケティングROIを聞かれ、絶望するパターンです。
一方で、展示会への過度な期待はマーケティング部門全体に蔓延している場合もあります。キャンペーンを設計・実行する段階で、どのファネルを狙ったキャンペーンか、そして、そのKGIは何かを定義、共有しておきましょう。例えば、Awareness ファネルを狙った展示会であれば、獲得名刺数がKGIにしておく、パイプライン創出はその後のフォローセミナーで狙うなど。
■失敗パターン 2:課題喚起が見落とされがち
一般的に、キャンペーンのコンテンツ作成の中心になるのは製品担当、プロダクトマーケティングだったりします。自社の製品大好きな人達ですから、製品の機能紹介を伝えるコンテンツが大好きです。
製品の機能紹介を軸にしたコンテンツの場合、本来は新規見込客をターゲットに製品検討を促したいと狙っていても、そもそも、課題喚起がされていない為、キャンペーンに反応するのは製品機能をより詳細に知りたい既存顧客がひっかることになります。そうなると、キャンペーンの意図とはずれた結果に陥りますよね。
これを避けるためにも、キャンペーンに課題喚起のコンテンツを用意しておくのが望ましいです。自社で課題喚起系のコンテンツを作成するのがリソース的に難しい場合は、業界の市場調査や公的なデータなどの無料で引用できる第三者機関のコンテンツを利用する、課題喚起に関するブログを用意する、といった打ち手を用意しておくのが望ましいでしょう。
■失敗パターン3:コミュニケーション設計でCTAが抜け落ちている
セミナーでプレゼンテーションをお願いすると、Call to Action=本日のプレゼンを聞いてもらい、参加者にやってほしいことが欠けているケースがあります。同様に資料ダウンロード系のキャンペーンについて、ホワイトペーパーにCTAが記載されていない、フォローアップメールでCTAが案内されていないケースは多々あります。これは、非常にもったいないです。
皆さんが服を買いにいった時、店員さんの対応はどうですか。あなたが服を手にとって、考え込んでいれば、試着をすすめてきませんか。また、試着した服について、他の服との比較をすすめたりもしませんか。これと同じように、B2Bの場合においても、情報を探しにきた見込み客に対して、次のステップがきちんと用意されているとファネルからの離脱が軽減できます。
課題喚起のブログを掲載したのであれば、ブログの最後に購買検討を促すコンテンツとして事例や技術資料へのリンクを貼る、セミナーの講演のまとめで試用版をおすすめするといったCTAの埋め込みはマーケターが必ず意識すべきポイントです。
■まとめ 呪文のように唱える「ターゲット」と「ファネル」と「CTA」
キャンペーン設計に取り組む場合、「Target」と「Funnel」と「CTA」を意識することの重要性が少しでもご理解できましたでしょうか。パワーポイントでも、エクセルでも、Evernoteでもよいので、これは書き出しておきましょう。そして、市場環境にも依りますが、1つのキャンペーンですべてのファネルをカバーできないので、スタートポイントのファネルとそれ以降のファネルまでの連続性を意識した複数のキャンペーンとCTAの連鎖を考慮してみてはいかがでしょうか。
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