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セミナー企画は自社主催、外部主催の二択で思考停止しない

12月年度決算を迎える外資系企業、または3月決算の日本企業でも、翌年度のマーケティング計画の策定が進む時期ではないでしょうか。IT業界で言えば、各種メディアのセミナー企画も出揃い始める頃で、年間でのセミナー計画も落とし込みが進む時期でしょう。ですが、ここでちょっと考えましょう。セミナーって、自社主催と外部媒体主催の二択で思考停止してないですか?セミナーに必要な要素を分解し、自社と外部のリソースを組み合わせた共同企画型セミナーの可能性についても考えてみましょう。

■デマンドジェネレーションの要となるセミナー

 
年間のデマンドジェネレーション計画って、大体、大規模な展示会、年次イベントをプロットして、その間に製品・サービス紹介のセミナーを加えていく感じでしょうか。私の場合も、顧客・見込み客セグメントを3つ(詳細はこちらのブログ「ABMでまず最初に行うべきことは?」を参照)に分類し、各セグメントごとのマーケティング施策を整理しますが、セミナーはB2Bのパイプライン生成では中核的な施策になります。なぜなら、B2Bの場合、顧客の課題と自社ソリューションの解決策が複雑になるため、どうしてもウェブ情報だけでは、顧客が必要とする情報が十分に提供できないからです。
 
この為、特に新規パイプライン創出向けのセミナー、すなわち、参加者が自社の製品を知らない場合、丁寧にやろうとすれば、次の3つの要素をお伝えする必要があります。
 
●そもそも顧客の課題認識の醸成
 
どんなに優れた製品・ソリューションであっても、それに対応できる顧客課題が認識されていないと顧客の検討は始まりません。企業を取り巻く環境を踏まえ、なぜ、課題への取り組みがなぜ必要なのかをきちんと理解頂く必要があります。
 
●自社製品・ソリューションの解決方法の提示
 
課題が認識されると、次に自社製品による解決方法を提示します。できれば、世の中にある解決策の選択肢が共有され、その中で自社製品の特徴・ポジショニングまでが解説されていると顧客側での比較検討を省力化でき、検討スピードと案件グリップが確保できやすいでしょう。
 
●自社製品の信頼性・実現性の証明
 
B2Bで複雑なソリューションとなる場合、多くの見込み客は導入の実現性、進め方や導入後のサポート体制までが気になるものです。実際に利用しているユーザの声をもとにこれらが第三者的に証明されている場合、同様に顧客検討角度も高まります。
 

■セミナーの開催形式:自社主催か、外部主催か

 
さて、パイプライン創出向けのセミナーを自社主催で行うべきか、外部主催に頼るべきか、それぞれのメリット、デメリットを整理してみましょう。
 
●自社主催セミナーのメリット・デメリット
 
・コンテンツの質の制御
自社開催の場合、時間・セッションの組み合わせも自由です。3つの要素をすべて網羅することもできますし、もしくはセミナー前のデジタル・ナーチャリングを通じて、例えば、課題訴求は済ませておくことで、製品紹介、事例紹介に特化することもできます。一方で、3つのセッションのスピーカーを自社で揃えることが難しい場合もあります。特に課題認識の醸成に関しては、第三者の見解があることが望ましいのですが、講演者が外部になります。
 
・集客=オーディエンスの質・量
集客対象は自社のリードデータベースになる為、集客コストを抑えられるメリットはあります。一方で、自社のリードデータが陳腐化している場合、すなわち、既にプロモーションを当てまくっていて、スレている場合、パイプラインにつながる新規リードを獲得することは期待できません。自社セミナーに外部集客メールを利用することも考えられますが、昨今は集客レスポンスが悪化していて、CostPerLead(リード獲得単価)も上昇傾向になるので、この点は要留意です。
 
・開催費用
講演者、集客を自社で実施する場合、費用は会場費用のみになるため、一般的に外部主催のセミナー協賛費用よりも安く抑えられます。
 
●外部主催セミナーのメリット・デメリット
 
・コンテンツの質の制御
外部主催の場合、立て付けとしては基調講演があり、3つほどのベンダーがセッションを持つ形式が一般的です。そして、セミナー全体のテーマが自社の商材レイヤーと同じ高さになる場合、競合企業が協賛することもありますので、基調講演が自社に有利になる振り出しになることは期待できません。また、自社のセッションは1つである為、限定的な時間ですべてを説明する必要があります。この点から、コンテンツの制御、すなわち、自社に有利な情報をお届けするのには、自社セミナーよりもハードルが高くなります。
 
・集客=オーディエンスの質・量
これは外部主催の集客力に依存しますが、自社セミナー・自社データベースでの集客よりも、新たなリードを獲得できる可能性は高まります。また、セミナーテーマとのレベル感の一致も大事ですね。例えば、AIベンダーがAIテーマのセミナーであれば良いでしょうが、働き方改革といったレベルが一段上となる場合には他の商材検討顧客も混ざる為にリードの質は悪化します。
 
・開催費用
外部主催の場合、基調講演の登壇料、会場費用、集客費用を協賛企業で按分する形式に近い金額になる為、自社主催セミナーよりも高額になるのが一般的でしょう。
 
以上の点を整理すると、自社に案件化前のリードが大量にあり、スピーカーもコンテンツもがっちり揃えられる場合は、自社セミナーがROI高そうです。逆に、リードもスピーカーも揃ってない場合は外部主催セミナーに協賛の方が良いのではないでしょうか。けれども、そもそも、セミナーって自社開催か、外部開催の二者択一なのでしょうか。
 

■自社に足りない部分を補完:メディア共同企画型セミナーへ

 
筆者自身、ある時、基調講演、自社製品の紹介、事例講演という3セッション構成で自社セミナーをやりたいけれど、基調講演は外部に任せたいし、集客も多少なりとも外部にお任せしたいと思うことがありました。外部セミナーにて、自社のコンテンツレベルのあったものがなかった為、自社セミナーを検討したい、けれども、講演者と集客が足りないという状況でした。そこで、媒体社に相談したところ、次のような形式でセミナーを企画・実施することができました。
 
●セッション構成
・基調講演のテーマは自社で指定して、講演者は媒体社にリクルーティング頂く
・製品・ソリューションのセッションはもちろん自社講演者を手配
・事例講演の講演者は自社で調整
講演者調整の中でも最もハードルが高い基調講演部分を外部に依頼した形式です。 
 
●集客
割り切って、全体集客の半々で両社で集客しましょうということにしました。基調講演が加わることで、なぜ取り組まないといけないかを再訴求できることで、コールドリードの再発掘ができるであろうということで自社の集客もやってしまおうという結論になりました。
 
●開催費用
基調講演の調整費用、会場費用を媒体社に持たせる一方で、集客数を折半することで全体のコストを抑えることができました。
 

まとめ:セミナー構成のあるべき像を考え、最適な打ち手として自社・外部・共同企画型を考えよう

 
ややもすると、自社開催のセミナーは自社のリソース制約を前提にこじんまりとまとめてしまいます。一方で、外部セミナーは集客面では魅力的ですが、コンテンツのレベル感との一致のコントロールはできません。このようなそれぞれの課題を解決するアプローチとして、自社のセミナーのあるべき像をまとめ、足りない部分を共同型で組み込むアプローチが考えられます。