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B2Bでの価格プロモーション施策の企画軸

昨年から、コトラーのマーケティングマネジメントの読破に向けて、日々、読書、勉強会に取り組んでいますが、目下 Chapter 18. Managing Mass Communications : Advertising, Sales Promotions, Events and Public Relations あたりです。この章のSales Promotionに関連して、B2Bでも製品価格の値引きを軸にしたプロモーションを実施することがあること、そして、施策の企画には十分な考慮が必要であることを思い出しましたので、ブログで要点をお伝えしておきます。

具体的な施策軸としては、対象者・製品、価格条件、施策期間・時期、オープン・クローズドのコミュニケーション、効果測定といった5つぐらいがあるかと思いますが、失敗しがちなキャンペーン設計を書き出してみます。 

考慮事項1.需要刈り取り型、需要創出型の型の選択とプロモーション期間 

まず、価格プロモーションのアプローチとして、この2パターンがあると考えています。需要刈り取り型とは、今すでにパイプライン化済みの案件に関して、一定の期間内での受注率を最大化するアプローチです。もう一方は、SalesPromitonの投入を通じて、市場のデマンドを自社製品に引き寄せる(自社への)需要創出型です。前者の場合は、既存案件の受注率、後者の場合は、追加的なパイプライン創出と受注を成功指標とすることになります。 

価格型SalesPromotionでは、適切なプロモーション期間を設定する必要があります。例えば、需要刈り取り型なのに期間が長期間設定されていれば、顧客の購入決定に時間的な猶予を与えることになり、逆効果となる場合もあるでしょう。一方で、需要創出型にも関わらず、値引きプロモ期間が顧客の検討開始から購入までのリードサイクルと比較して短すぎる場合、新たなデマンドを創出できずに終わります。 

考慮事項2. 対象者、対象製品の絞り込み 

価格プロモーションの範囲、それは対象製品、対象者であるのですが、広げれば広げるほど、売上機会は大きくとれる一方で、利益率・額とのトレードオフにもなります。例えば、自社へのロイヤリティーが既に高い既存顧客の追加購入に関しても、値引きプロモーションを行うべきか?といったケースです。 

価格プロモーションが、例えば、自社の既存顧客、競合のユーザ、自社・競合のユーザといった異なるセグメントに対して、どのような有効性、魅力となるか、また、そのオファリングがないことにより自社の損失機会(他社に流れる、何も購入しない)がどの程度あるのか、これらの定量的なプロス、コンスを行う必要があります。 

例えば、自社製品の未使用ユーザに対してはアグレッシブな置き換え価格を展開するば、それは未使用ユーザに限定とするといったケースが良く見られます。B2Bの場合ですと、競合製品の利用状況に関するエビデンスをもらうことを前提にこのようなプロモを展開することがあります。 

考慮事項3. 価格値引き後でも、スイッチングコストを含めて魅力的なオファーになっているか 

B2Bでの競合製品、または競合カテゴリーの製品の置き替え推進として、価格のディスカウントをプロモーションする場合があります。けれども、顧客視点に立つと、製品・サービスの置き換えにかかるコストは製品価格だけではありません。

例えば、パソコンのウイルス対策製品の場合、既存製品からの置き換えにあたり、IT部門による作業が伴います。仮に、この作業に1台あたり1千円かかるとして、新規製品での価格が年間で500円安くなるとして、では置き換えを行うのか?(この場合、3年利用継続する場合はトータルコストは下がるわけですが)

このようにトータルコストを前提にした製品・サービスの価格提案でなければ、プロモーションを展開しても効果が出にくい場合があります。

考慮事項4. プロモーションのコミュニケーションはオープンか、クローズか 

価格プロモーションをオープンにコミュニケーションするとは、ウェブ、メール等、だれもがアクセスできる情報チャネルでプロモーションの具体的な情報を展開することです。オープンにコミュニケーションすることにより、より多くの見込み客にリーチができる一方で、価格値引きの訴求はブランド(製品・サービスに関する期待価値)を引き下げる場合もあります。 

そもそも、値引き対象のターゲット顧客が限定的な場合は、情報をオープンにせず、顧客への個別開示で対応する方法も考えらえれます。完全にオープンにする場合、興味のある顧客には問い合わせをしてもらい、ターゲット顧客であることを確認した上で価格条件を開示する場合、さらには営業の個別商談ベースで開示するといった選択があります。 

このオープン、クローズの度合いにより、そもそも、マーケティング主体にプロモーションを企画・実行するか、もしくは、営業による個別値引きで留めるか、実行方法も変わります。 

考慮事項5. プロモーションの効果測定をどのように設定し、レビューするか

価格プロモーションの目的は、基本的に売上の最大化です。単価を下げても、販売量を取るということですが、では、プロモーションを実施した場合、しない場合での差分的な効果を定量的に目標設定、レビューする必要があります。プロモーション企画時点でこれらが仮定されている必要があります。

刈り取り型のプロモーションであれば、プロモーション期間での受注率(案件機会から売上へのコンバージョン率)が通常より高くなるか、受注までのリードサイクルが短くなるか、を見るべきでしょうし、需要創出型のプロモーションであれば、過去のトレンドとして創出パイプラインが増強されているか、などを見ていくことになります。

まとめ

このように価格プロモーションの型と期間、対象者、コミュニケーションといった考慮点があるわけですが、読んで頂き、既にお気づかもしれませんが、これらの軸を決める為には、想定される市場機会をどれぐらいの時間軸で自社へのデマンドに向かわせるかの分析、そして、プロモによる効果の仮説が必要になります。前者は、市場機会に対する営業パイプラインによるカバーレージを踏まえた自社の課題と言えるかもしれません。また、売上よりもシェア取りの為の価格プロモーションも考えられます。結局は、価格プロモーションありきではなく、市場機会、課題、それに呼応する4Pの落とし込みという前段の分析も必要になるのです。