B2Bマーケティングでのデマンドジェネレーション施策の効果測定において、SQL化に貢献した直前のキャンペーンを把握することはとても重要です。例えば、ウェビナーから案件化した、ウェブサイトの問い合わせから案件化したと分かれば、その施策を増やすことで多くのパイプラインが創出できるからです。一方で、展示会、外部メディアでのリード獲得の場合、施策直後に案件化する率は少ないですが、あらたなコンタクト先の獲得には有効な為、成長段階の企業では積極的にこれらの投資を行います。このようなリード獲得系施策について、中期的な視点でパイプライン創出貢献をトラックしてみましょう、という話です。
▪️市場成長への追随には、新規顧客=見込み客の獲得が必要
自社のB2B商材が成長市場に属する仮定としましょう。対前年比で数十パーセントの成長率があり、自社もその成長率に上回る成長したいとします。もちろん、市場の成熟期では限られた既存顧客の継続的な購入よるLTVの最大化が市場成長を牽引している場合もありますが、ここでは市場の成長段階と仮定していますので、未使用ユーザが新たな顧客になることで市場が拡大するものと仮定します。
自社としてこのような市場機会を取り込むには、つまりは、自社として新たな顧客の獲得が必要です。そして、マーケティング部門では、これまで自社とつながりがなかった、将来的に顧客になり得る見込み客との接点を獲得するリードジェネレーション施策を打つことになります。リードジェネレーションの代表的な施策として、1回で大量のリード獲得が行える展示会、外部メディアでのオンライン・コンテンツ・シンジケーションがあるわけですが、一方で、少量リードを継続的に獲得する自社ウェブでの資料ダウンロードでもリード獲得は可能です。尚、自社ウェブの資料ダウンロードの場合にも、オファーリング内容、というかターゲットするファンネルにより、リード獲得系、案件コンバージョン目的系の両方が存在したりもします。リード獲得系の場合は、リスティング広告等を活用して、検索からダイレクトにランディングページに誘導するパターンがよく見られます。
ですが、これらの新規顧客の新規担当者との接点を狙っていく施策においては、リード獲得直後に案件化すること比率は決して高くありません。B2B商材の場合、購入金額が大きい、購入する製品・サービスが複雑であるといった理由から、検討に時間がかかるからです。過去の経験から言えば、業種、市場環境にもよりますが、展示会に出展した直後に案件化する率は、数パーセントあれば良いでしょう。マーケティングの書籍でも、95%のリードは情報収集段階、いますぐ顧客ではないと書かれていたりします。
自社の成長には、リード獲得が必要だけ、これらのリード獲得施策について、その効果、すなわち、マーケティングROIはどのように評価していくべきか、という疑問が出てくるのではないでしょうか?
▪️そもそもリード獲得系施策の評価はどうしているか?
さて、本題ですが、リード獲得系施策の評価はどうしていますか?おそらく、次のパターンの何れかに当てはまるのではないでしょうか。
1.リード獲得系施策の評価はしていない
2.リード獲得単価(施策コスト ÷ 獲得リード数)を評価、厳密な場合、既存のDBとマッチングし、新規リードの単価を算出
3.リード獲得直後の案件コンバージョン、創出パイプラインを評価
4.獲得したリードからの中長期での案件コンバージョン、創出パイプラインをレビュー
皆さんの評価は如何でしょうか。例えば、展示会で言えば、3の出展直後にどれだけ案件化できたか、また、2の展示会出展して名刺何枚集めました的な場合が多いのではないでしょうか。けれども、新規顧客の新規担当者は、自社の商品・サービスの認知も十分にされていない状態ですから、すぐに引き合いをもらえることが稀ですし、また、その集めた名刺が最終的に案件につながらないのであれば、展示会の目的はなんだったのかという話になります。
そこで考えたいのは、3に追加して、4を回してみることです。B2Bの場合、保守的に考えると顧客の検討・予算化は年度・半期で動いていきます。ですので、展示会で獲得したリードから、例えば、1年以内での案件化という時間軸は、顧客視点ではかなり合理的と言えます。
▪️MAツールでのAcquisition Campaign 軸でパイプライン創出をレポート
では、具体的にどのように中長期での案件創出貢献を測れば良いのでしょうか?
リード獲得系施策からのリードですが、案件化した際のキャンペーンが異なる場合があります。例えば、展示会で獲得した名刺ですが、その後、ウェビナーに参加頂いて案件化した場合、SQLコンバージョンのキャンペーンは後者、すなわち、直近のウェビナーになります。コンバージョンのキャンペーン軸だけでマーケティング ROIを見てしまうと、リード獲得としての展示会の貢献が可視化できません。
これを解決する方法として、キャンペーンからのパイプライン創出レポーティングについて、リード獲得元の施策(MAツールのそのコンタクトを追加・アップロードされた際のキャンペーン=Acquisition Campaign)、リードコンバージョンの施策(MAでのConversion Campaign)の両方の観点でレポーティングしてみることです。例えば、展示会であれば、出展後の6ヶ月、または12ヶ月の経過後に、上記のAcquisition Campaignを軸に展示会で獲得したリードから創出されたパイプラインをレポーティングします。これにより、投資金額の大きい展示会の次回出展に向けて、中期的なROI評価ができるわかです。
まとめ:リード獲得元施策は中長期でのパイプライン創出で再評価
長期的なリードサイクルの為、リード獲得元のキャンペーン施策の貢献が軽視されがちですが、リード獲得施策を軸に、獲得リードからのその後案件創出を可視化、効果測定というアプローチにより、アッパーファネル施策への投資が最適化されます。
最後に、リード獲得に関して、参考になりそうなブログのリンクを貼っておきますので、こちらもご一読頂ければ、です。
最後に、B2BマーケティングにおけるDemand Waterfall分野のデータ分析(MQLからSQL変換、SQLからSQLWon/Lost変換の2つの工程)について、チャート例、分析ステップ等を解説したNOTEを書きましたので、こちらもご参照ください。
サンプルチャートとデータ分析の進め方の解説付き、B2Bマーケティング・Demand Gen分野のデータ分析ガイダンス
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